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研究内容紹介

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疫学研究とデータサイエンスの融合による予防医学の革新

氏名
中村 翔
所属
ヘルスイノベーション研究科
研究分野
疫学、予防医学、医療データサイエンス
学位

学士(医学)(山形大学)、博士(医学)(山形大学)

キーワード

ゲノム疫学、包絡分析法、コホート研究、個別化予防

取り組み内容

  1. 包絡分析法(DEA)を応用した予防医学の革新
    オペレーションズリサーチの手法を予防医学に応用する研究に力を入れています。例えば、包絡分析法を予防医学へ初めて応用。この手法を用いたランダム化比較試験では、「効率スコア」による健康リスク評価が従来の方法より効果的であることを実証しました。この成果は、BMJ Open誌に掲載*1され、効率的な保健事業のための新たな指標として注目されています。
     *1 Nakamura S, et al. BMJ Open 2023; 13(5): e070187
     
  2. ME-BYO indexの開発と社会実装
    神奈川県との共同研究により、健康と病気の間の「未病」状態を可視化?定量化する「ME-BYO index」の精緻化事業で神奈川県みらい未病コホート研究のデータを活用した解析を担当しました。現在、複数の自治体で実証研究が進行中であり、個人の健康状態の「見える化」による行動変容を促進しています。
     
  3. 遺伝×環境交互作用による個別化予防医療の展開
    全国規模の疫学研究(J-MICC研究)や神奈川県立がんセンター臨床研究所がん予防?情報学部と共同で実施している神奈川県みらい未病コホート研究*2などを基盤に、遺伝子多型と生活習慣の交互作用がどのように病気の発症に関連しているかを解明するための研究を進めています。
     *2 https://www.me-byo-cohort.jp/
     
  4. 腸内細菌叢研究
    神奈川県みらい未病コホート研究を基盤に、腸内細菌叢と健康指標の関連についての研究も行なっています。特にロコモティブシンドロームと腸内環境の関連についての研究成果は、NPJ Aging誌に掲載*3され、高齢者の運動機能維持への新たな知見を提供しています。また、腸内細菌叢解析でもDEAの応用に挑戦しており、この成果はCurrent Development in Nutrition誌に掲載*4されています。
     *3 Matsuki T, Nakamura S, et al. Curr Dev Nutr 2024; 8(11): 104469.
     *4 Nishiyama M, Nakamura S, et al. 2024; 10(1): 55.

     
  5. 多分野?多機関連携による社会実装の推進
    横浜市医師会と連携したがん検診精度管理事業や慶應大学、東北大学をはじめとする20件以上の産学官共同研究を主導。さらに、シンガポール国立大学などとの国際共同研究も積極的に進めており、グローバルな視点での予防医学の発展に取り組んでいます。?

メッセージ

「一次予防のイノベーション」をテーマに、データ駆動型の個別化予防を実現する研究に取り組んでいます。特に、包絡分析法や機械学習を用いた健康リスク予測と、それに基づく効果的な介入方法の開発によって、予防医療が多くの人にとってより身近になることを願っています。
医療現場(臨床知)と研究(科学知)、そして社会実装(実践知)をつなぐことで、真に社会に貢献できる予防医学の構築を目指しています。共同研究や社会実装に関するご相談は随時受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

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